2020年度の教育改革により、新学習指導要録の導入が実施されました。
それに伴い、教育の方針や調査書のあり方が少しずつ変わってきています。
本記事では、これまで調査書が『どのように変わってきたか』と、『今後どのように変わっていくのか』をご紹介します。
目次
1. どのように変わってきたか
これまでの調査書の歴史について、ご紹介します。これまで、調査書、指導要録に関する法改正は大まかに5年程度のスパンで実施されてきました。しかし、2020年に発表された教育改革やコロナの影響により、最近では毎年のように調査書や指導要録の変更が実施されています。
~2019年度
・用紙サイズはA3もしくはA4両面
2020年度~
・『指導上参考となる諸事項』が分割される
・備考欄が大きくなる
・用紙サイズA3がNGになる
2021年度~
・「出席停止・忌引き等の日数」および「授業日数」を記載しない
新型コロナウイルスの影響によりやむを得ず高等学校等に登校できず、オンラインを活用した学習指導を受けたことにより、その日数が指導要録上「出席停止・忌引き等の日数」として記録された場合、入学選抜で不利益に取り扱われるのではないかという懸念や不安等が生じないよう、記載事項のうち「出席停止・忌引き等の日数」は記載しないこととされました。また、「出席停止・忌引き等の日数」が推測できる「授業日数」についても同様に記載しないこととなりました。
参考:文部科学省
2025年度~
・「6.特別活動の記録」の簡素化
「学校行事」「生徒活動」「ホームルーム」の3項目に分類され、活動内容に問題が無ければ、それぞれの項目に丸をつける形式
・「7.指導上参考となる諸事項」の簡素化
学年ごとに箇条書きする形式
教員の負担軽減が推進するため、上記二項目が簡素化されます。
2. 今後の変更点
現在、公開されている参考様式は下記となります。
調査書はこの様式から今後、どのように変わっていくのでしょうか。
参考:文部科学省HP
観点別評価の開始
今後の変更については『観点別評価』が関係してきます。
※観点別評価についてはこちらの記事を参照ください。↓
2022年度1年生を対象に『観点別評価』が始まります。指導要録は様式の変更があり、観点別評価を記載するようになりましたが、調査書への記載はどうでしょうか?
調査書については観点別評価の記載はありません。
観点別評価の対象となる、2022年度1年生が3年生になる2024年度、このタイミングでは調査書への記載はしないものとなっております。
しかし、途中段階で観点別評価がどれくらい浸透しているか、信頼出来る成績の基準として、調査書に記載するべきかを判断するため、文部科学省が調査を予定しています。
参考:文部科学省
取り扱い廃止の内容
また、下記の内容については取り扱いを廃止するとも記載されています。
・「学習成績概評」について、Aに属する生徒のうち、人物、学力ともに特に優秀
な者については、Ⓐと標示するよう希望することができる。(この場合に「備考」
にその理由を記載させる。)
・「備考」について、当該大学の学部等が求める能力・適性等について、高等学校
長が特に推薦できる生徒については、その旨を記載するよう希望することがで
きる。
調査書の電子化
調査書の変更点として押さえておきたいポイントが、「調査書の電子化」です。
調査書の改定による記載情報量の増加やポートフォリオの普及により、文部科学省は2022年度を目途に調査書の電子化を目指す方針を公表していました。
しかし、令和2年度の「JAPAN e Portfolio」の運営許可の取り消しや各学校のICTの導入状況もあり、延期になっております。現段階での導入時期は明示されておらず、令和2年度2月12日に開かれた会合においても調査書の電子化について”速やかな完全電子化を目指す”にとどめていました。
調査書電子化の実現のためには、統合型校務管理システムや電子出願の更なる導入を促進していく必要があります。他にも、調査書改定の把握や、調査書をどのように作成するかの取り決めをする必要があるでしょう。
「調査書の電子化」は将来的に実施の可能性が高いことが推測されますので、あらかじめ準備や対策を検討しておくことをおすすめいたします。
参考:文部科学省
3. どんな準備が必要?
2021年度の授業日数を非表示にするなど、年度途中で急遽、文部科学省から通知が来ることもあります。調査書の様式や項目をすぐに変更できる体制を整えるとともに、どのように変更されていくのか、リサーチしておきましょう。
・システム導入済みなら、現在の業者が対応可能か、どれくらい時間がかかるのか。
・自前のシステムならメンテナンスは可能か。
・文部科学省からの最新の発表や通知は無いか。
・観点別評価の調査にむけて、評価の根拠等を出すことはできるか。
未確定なことへの準備となりますので、現時点の情報をしっかりと集め、準備をするようにしましょう。
4. まとめ
調査書の様式については今後、どのように変更されるか、未確定な部分も多いですが、方向性は文部科学省のページから確認することができます。変更については今までの傾向から見ると、いきなり大きく変わることはありませんが、少しずつ変更されています。ある程度の方向性をリサーチ・準備し、夏休みまでの期間で対応出来る体制を準備しましょう。
票簿会計センターでは文部科学省からの発表やお客様がどうしたいかをヒアリング、打ち合わせし、法改正に向けて順次システムアップデートを予定、適用しています。現在の運用でお困りの点や不安等がありましたら、ご相談ください。