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運用事例紹介「高等学校等就学支援金制度」



2010年の公立高校の授業料無償化と同時に始まった、高等学校の授業料負担を軽減する「高校学校等就学支援金制度」。

制度改正により、2020年4月から私立高校生への就学支援金は大幅に拡充され、私立高校授業料の実質無償化ともいわれています。

就学支援金は文部科学省が管理している制度ですが、学校を介しての給付になるため、学校側で計算して生徒・保護者へ返金や、授業料の追加徴収や相殺を行う必要があります。

そこで、この記事では私立高等学校様の就学支援金に対応した様々な運用パターンを例に挙げ、

・他の学校でどのように管理されているか知りたい!

・学校での取り扱いについて再度見直しを図りたい!

といったお考えをお持ちの私立高等学校事務ご担当者様に向けて解説します。



目次

 




1. 現状の問題点

 

私立高等学校の事務ご担当者様から就学支援金の処理が大変という声をよくお聞きします。

では、実際にどういったことが問題なのでしょうか。


支給額の算定に用いるのは、保護者の前年度7月~6月分の市町村民税の課税標準額です。

そのため7月に審査・認定が始まり支給額が確定されますが、授業料の請求は4月から始まる学校が多く、以下の表のように4月~6月までの支給額と7月~3月までの支給額が異なります。

※家計急変等による算出は考慮しておりません。


7月以降の支給額ですが、認定が下りて金額が判明するのが10月~11月頃になり、7月~9月頃までは支給額未確定のまま授業料を請求します。

さらに1年生については、4月~6月分の支給額は入学時期に申請を行い、認定が下りるのが6月~7月頃になるので、こちらも支給額未確定のまま授業料を請求します。

仮で決めた支給額を算出して請求することもできますが、実際に認定された支給額との差額の対応が必要になるケースもあります。

これに加えて学園独自の奨学金制度や都道府県毎の減免制度等を含めると、処理パターンが、膨大になってしまいます。また、生徒個別で相殺や返金等多様な対応をしないといけない学校様もいらっしゃいます。

こういった問題について、各学校で様々な対策を施し、学校側の経済状況や生徒・保護者のことを考えて請求処理を行っていらっしゃると思います。


2. 事例紹介

 

実際に学校事務がどういう請求・返金を行っているのか、具体的な金額を用いて紹介し、学園側の経済負担、就学支援金による返金処理や差額調整などで発生する事務負担と保護者の経済負担の観点で評価します。

なお、すべての学校で”授業料月額33,000円”と”施設設備費3,000円”のみ請求するものとし、「1年生:票簿太郎さん」をモデルとして、4月~6月の認定区分は加算あり(33,000円)、7月~3月の認定区分は基本額(9,900円)における金額例を表記します。

この事例では、都道府県ごとの減免や学園奨学費を含めないものとします。

 

① A高校

 

・処理条件

就学支援金の決定までは、支給額は無いものとして扱う。

決定後に返金し、以降の請求は授業料と相殺する。


▼具体的な金額例

1年生     4月~6月:加算あり

票簿太郎さん  7月~3月:基本額


【学園側】


・事務作業負担:

6月、10月と2回返金処理が入りますが、調整等の複雑な計算は不要なため比較的事務処理の負担は少なくなります。

一方で、通常の授業料の支払いが難しい保護者については、未納者が増える可能性があります。それにより、事務作業負担が増加することも考えられます。


・経済負担:極小

支援金を先に負担する必要がないため、資金繰りにも影響がないと思われます。



【保護者側】


・経済負担:

就学支援金の決定までは通常の授業料を支払う必要があるため、家計への負担が増えることになります。支払いが難しい場合は、学校へ相談する必要もあるかと思います。


 

② B高校

 

・処理条件

1年生で、就学支援金の決定までは申請者に対して一律9,900円(基本額)として扱う。

7月以降は4月分の支給額を仮で充当し、決定後、差額が生じれば徴収もしくは返金を行う。


▼具体的な金額例

1年生     4月~6月:加算あり

票簿太郎さん  7月~3月:基本額


【学園側】


・事務作業負担:

6月、10月にこれまで仮で充当している支給額との差額を計算し、生徒毎に追加徴収もしくは返金を行う必要があります。そのため、事務作業が複雑になり負担がかかります。


・経済負担:

就学支援金が決定する前までは学校側で支給額を負担しないといけないので、経済的な負担がかかります。ただし、負担は所得制限対象者分のため、大きくはなりません。


【保護者側】


・経済負担:

就学支援金が決定する前も授業料が減額されているため、経済的な負担が軽減されます。

本来加算ありに該当する場合は差額分の負担が発生します。

また、想定していた支給額が異なる場合は追加徴収もあるため、注意が必要です。


 

③ C高校

 

・処理条件

1年生で、就学支援金の決定までは申請者に対して一律33,000円(加算あり)として扱う。

7月以降は4月分の支給額を仮で充当し、決定後、差額が生じれば追加徴収を行う。


▼具体的な金額例

1年生     4月~6月:加算あり

票簿太郎さん  7月~3月:基本額


【学園側】


・事務作業負担:

6月分においては、就学支援金決定後、追加徴収のみ発生します。

7月分においては、これまで仮で充当している支援金との差額を計算し、生徒毎に追加徴収もしくは返金を行う必要があります。


・経済負担:

就学支援金が決定する前までは学校側で支給額を負担しないといけないので、経済的な負担がかかります。経済的な余裕が無いと、資金繰りに影響する場合があります。


【保護者側】


・経済負担:

就学支援金が決定する前も授業料が減額されているため、経済的な負担が軽減されます。

ただし、想定していた支給額が異なる場合は追加徴収もあるため、注意が必要です。


 

④ D高校

 

・処理条件

就学支援金が決定する前は請求を行わず、決定後に請求を行う。


▼具体的な金額例

1年生     4月~6月:加算あり

票簿太郎さん  7月~3月:基本額


【学園側】


・事務作業負担:

返金や差額等が一切発生しないため、事務処理への負担がかなり軽減されます。


・経済負担:極大

就学支援金が決定する前は一切学費を請求しないため、経済的な負担が非常にかかります。経済的な余裕が無い場合、資金繰りに影響する可能性が高いです。


【保護者側】


・経済負担:極小

就学支援金が決定する前も授業料が減額されているため、経済的な負担が軽減されます。


 

⑤ E高校

 

・処理条件

就学支援金の決定までは、支給額は無いものとして扱う。

4月~6月分の支給額は7月~9月分の授業料と相殺し、7月~9月分の支給額は決定後で返金を行う。


▼具体的な金額例

1年生     4月~6月:加算あり

票簿太郎さん  7月~3月:基本額


【学園側】


・事務作業負担:

就学支援金の充当時期をずらして請求を行います。10月には返金処理が入りますが、調整等の複雑な計算は不要なため比較的事務処理の負担は比較的少なくなります。


・経済負担:

就学支援金を先に負担する必要がないため、資金繰りにも影響がないと思われます。

一方で、通常の授業料の支払いが難しい保護者については、未納者が増える可能性があります。それにより、事務作業負担が増加することも考えられます。


【保護者側】


・経済負担:

就学支援金の決定までは通常の授業料を支払う必要があるため、家計への負担が増えることになります。支払いが難しい場合は、学校へ相談する必要もあるかと思います。


3. まとめ

 

各学校における評価については、以下のようになりました。















他にも様々な運用ケースがあるかと思いますが、ご自分の学校と比べていかがだったでしょうか。ここでの「事務作業負担」とは差額や返金等による業務があるかどうかという観点で見ているため、差額や返金等が無いにしろ、生徒の学納金との紐づけや書類の申請や度重なる制度改正等、多忙を極めていらっしゃるかと思われます。


せめてこういった学費請求・返金処理の事務負担が軽減されるよう、弊社の学費管理システムでは、e-Shienから出力されるファイルを取り込み学費に反映することで、手作業によるミスを極力無くせるように対応を施したシステムです。

「自分の学校の運用ルールは特殊だからパッケージのシステムでは難しいだろう」と思われる学校事務ご担当者様もいらっしゃるはずですが、

こういったお悩みを多数解決した実績がある弊社の学費管理システムでこそ解消できると思いますので、ご興味あればお問い合わせください。


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