ICT化とは?活用できる補助金の種類や申請の流れ、システム会社選定のポイントを解説
- hyoubo0811
- 2021年10月14日
- 読了時間: 11分
更新日:2024年7月5日

ここ最近、保育業界でもよく聞かれる「ICT化」という単語。
近年、残業時間削減の徹底や有給休暇が義務化されるなど、社会全体で「働き方改革」が推進されている中で、
・保育士不足
・待機児童問題
・保護者対応
・膨大な事務作業
といった問題を解消しようと、保育施設の「ICT化」が全国で進んでいます。
ICT化とは何か、ICT化に活用できる補助金の種類や補助金申請の流れ、システム会社選定のポイントをご紹介します。
目次
1. ICT化とは
ICTとは「Information and Communication Technology」を略した言葉です。
保育施設のICT化とは、主にインターネットを活用した業務支援システム(ICTシステム)を導入することを指します。
園児の出欠管理や保育日誌、連絡帳・お便りなどの作成を、パソコンやタブレット・スマホといった端末を使って簡略化し、保育士の業務負担を減らすことがICT化の一番の目的です。
システムを導入するにあたり気になるのが導入費用ですが、「ICT補助金」を活用することで、コストを抑えてシステムを導入することが可能です。
2. ICT補助金とは
保育士の業務負担軽減を目的とし、保育施設への業務支援システム導入に必要な費用が一部補助される制度です。
これまでは、「保護者連絡」・「投稿機能」・「記録と計画」の3つの機能の導入に対して補助金が提供されていましたが、令和6年度より、新たに、実費徴収や延長保育等を利用する際に係る費用の徴収に関して、「キャッシュレス決済」を導入する場合の費用も補助対象となりました。
過去に補助金を受けてICT化を進めた保育園でも、キャッシュレス決済システムを導入する場合は、再度補助金を受けることが可能です。
国や自治体が実施している制度で、各都道府県の自治体によって補助金額や条件が異なるため、検討時に確認する必要があります。
3. 保育施設のICT化の使える補助金の例
① 保育所等におけるICT化推進補助金(厚生労働省)
□対象経費・・・システム導入費、リース料、保守料、工事費、通信費及びその消費税
□対象施設・・・保育所、幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園
※自治体によって異なる場合があります
□補助金額・・・1施設あたり、上限100万円
□補助金負担割合・・・国が1/2、市区町村が1/4、事業者が1/4
□補助金の対象となるシステムの例
・他の機能と連動した園児台帳の作成・管理機能
・園児台帳と連動した指導計画の作成機能
・園児台帳や指導計画と連動した保育日誌の作成機能
② 園務改善のためのICT化支援(文部科学省)
□対象経費・・・システム導入費、改修費、保守料、工事費、ハードウェア
□対象施設・・・幼稚園、幼稚園型認定こども園
※自治体によって異なる場合があります
□補助金額・・・1施設あたり、上限72万円
□補助金負担割合・・・国が3/4、事業者が1/4
□対象となるシステムの例
・保護者向けのメール配信
・園児の登園管理
・指導要録の作成
補助金を活用することでICT化にかかる費用は抑えられますが、事業者側も一部費用を負担しなければなりません。
※交付要綱は都道府県、市区町村ごとに異なります。
実施有無・時期や詳細については各都道府県、市区町村にご確認ください。
4. ICT補助金申請の流れ
ICT補助金の交付を受けるには、申請を行う必要があります。
一般的な申請の流れをご説明します。
1. 管轄自治体の補助金実施状況および申請期限を確認する
(実施されている場合、申請期限や対象となるICTシステムの調査を行います)
2. 管轄自治体へ「事業実施計画書」と「必要書類」を提出して申請を行う
3. 事業実施計画書の承認通知を受け取る
4. ICTシステムの発注・契約を行う
5. ICTシステムの導入完了後、ICTシステム会社へ支払いを行う
6. 管轄自治体へ「助成金申請書」と領収書などの「必要書類」を提出する
7. 決定通知書を受け取る
8. 補助金の交付
申請に必要な書類としては業務効率化の段取りなどを記した「実施計画書」、「導入予定のシステムの資料(見積書・パンフレット等)」などが挙げられますが、自治体によって申請手順や必要な書類が異なります。補助金申請を検討される場合は事前にご確認ください。
ICT補助金対応のシステムを提供している会社の中には、補助金申請のサポートを行っているところもあります。申請・導入までサポートを行っている会社か、導入後の実績報告までサポートを行ってくれる会社かどうか、事前に確認しておくと安心です。
5. 補助金活用のメリット
保育施設のICT化に必要な費用を幅広くカバーしているため、システム導入費だけでなく、インターネット環境を構築する工事費や、システムの保守料といった諸経費も補助対象となります。
また、補助金は原則返済の必要はありませんので、費用で不安を感じていらっしゃる方にとって嬉しいポイントではないでしょうか。
6. システム会社選定のポイント
① 目的、条件を満たす機能を有しているか
何のためにシステムを導入するのか、どういった課題をシステムで解決したいかなど、目的を具体的にした上で条件を満たすシステム選びましょう。
必要な機能に優先順位をつけてシステムの比較を行うと、より目的や条件にあったシステムを導入できます。
「システムを導入すれば課題が解決する」と安易に考えて導入すると、うまく活用できずに時間とコストが無駄になってしまう可能性があるため、注意しましょう。
② 保育士が使いやすいシステムか
パソコンが苦手な保育士でも使いやすく、簡単操作できるかなど、実際にシステムを利用する保育士に新しい負担がかからないよう、じっくりと比較・検討して選びましょう。
どんなに高機能でも現場のやり方に合わず、使いこなせなくては意味がありません。
持ち運びしやすいタブレットやスマホで使用できるシステムであれば、先生たちが移動せずに空いた時間に作業ができます。
③ 保護者が簡単に操作できるか
保護者が使いづらいシステムは保護者対応に時間が取られたり、お知らせをシステムで見てもらえなかったりと、かえって保育士の負担を増やすことになります。
スマホ操作が苦手な保護者でも簡単に操作・閲覧できるシステムを選びましょう。
④ サポート体制が整っているか
新たにシステムを導入すると、現場の保育士や職員が使いこなせるようになるまで多少の時間はかかります。導入してすぐはシステムに慣れていないこともあり、今までよりも事務作業に時間がかかってしまう可能性があります。導入時の端末のセットアップや操作説明だけでなく、操作に慣れるまでのことも考慮して、導入後のサポート体制についても確認しておきましょう。
電話やメールはもちろん、緊急時にどこまで対応できる体制を整えているか、遠隔サポートやオンラインでの説明などを行っているかも確認しておくと安心です。
⑤ 費用
ICT化を行うと、どの程度費用がかかるのかも気になるポイントです。
必要な費用としては初期費用と継続して発生する費用(ランニングコスト)があります。
初期費用はシステムを利用するために必要なパソコンやタブレットなどの機器購入、システムの導入費用、インターネット環境の整備費用などが挙げられます。
継続して発生する費用はシステムの利用料、保守料、クラウド利用料が挙げられます。
予算内で収まるかどうか見積もりを確認するとともに、決済方法や払込方法(月払い・年払い)なども確認しておくと導入後の支払いもスムーズです。
⑥ セキュリティ対策
システムは園児や保護者の個人情報を取り扱うため、セキュリティ対策が重要です。
保護者の中にも個人情報のセキュリティを気にする人は少なくありません。
情報セキュリティ対策に関する機能や、システムおよび運営会社のセキュリティポリシーや体制についてもチェックすると良いでしょう。
データ通信が暗号化されたり、職員ごとにアクセス可能範囲が変更できたりするなど、きちんとしたセキュリティ対策が取られているシステムを選びましょう。
⑦ 補助金に対応しているか
補助金を活用してシステムを導入する場合、補助金が受けられる条件を満たしたシステムであるかも確認しておきたいポイントです。また、補助金を活用した導入実績のある会社か、補助金申請のサポートも行ってくれるかなどについても合わせて確認しておくと安心です。
7. ICT化に必要な環境や設備
インターネット環境
ICTシステムを使うにはインターネットが必要不可欠です。
ネット環境がない場合は、回線業者とプロバイダーを選んで契約を行います。
ネット環境がある場合でも、ネット環境が不十分だと、システムの機能がうまく発揮されません。パソコンのスペックが低い、インターネット回線が遅い場合は、読込に時間がかかったり、データ送信がうまくいかなかったりと、業務効率を悪くする可能性があります。
回線速度などに問題がないか確認し、状況に応じてプランや業者の見直しが必要かもしれません。
また、インターネットは有線だけではなく無線Wi-Fiが使えるようにすることもポイントです。職員同士のスムーズな情報共有のために、園内のどこにいてもシステムを使えることが重要です。
パソコンやタブレットなどの端末台数を増やす
システムを導入しても、パソコンやタブレットの台数が少ないと使用できる職員が限られてしまい、ロスタイムが生まれます。また、パソコンの場合、パソコンの設置場所まで行かなければならないなど、空いた時間に作業できないといった問題も起こりかねません。
持ち運び可能なタブレット端末の台数を増やすことで、場所に縛られることなく作業が可能です。
端末の設定場所と作業しやすい環境を作る
パソコンを追加で設置する場合、設置場所の確保が必要です。
システム導入時に慌てずに済むようあらかじめ設置場所を確認しましょう。
また、パソコンやタブレットを使用して作業を行う場合、子どもたちの手が届かない作業環境が大切です。
8. ICT化を成功させるポイント
① 目的を具体化する
ICTシステム導入の目的は、主に「業務負担の軽減」と「保護者コミュニケーションの改善」の2つに分けられます。
ICTシステムには様々な機能がありますが、たくさんの機能が備わっていても十分に活用できなければ意味がありません。どういった業務が負担になっているか洗い出し、その業務が改善できる機能があるか、導入する目的に適したシステムかどうかにポイントを絞りましょう。
② 動作環境を整える
スムーズなシステム導入のために動作環境を整えることは大切なポイントです。
導入するシステムに応じて、最適なパソコンやタブレットの台数、インターネット回線、Wi-Fiなどの整備を行いましょう。
パソコンやタブレットは、運用シーンに応じて確実に足りる台数を用意します。
また、パソコンが苦手な職員にはタブレットを用意するなど、職員の適性も踏まえて決めていくとよいでしょう。
ICTシステムはインターネット回線を利用してデータ通信を行うため、回線速度やパソコンのスペックが低いと、入力した内容がうまく反映されなかったり、動作に時間がかかったりする可能性もあります。
場合によってはインターネット回線や別の端末を準備する必要があるので、あらかじめ現在の環境を確認しましょう。
③ 保護者の理解を得る
ICTシステムの導入には保護者の理解を得ることが重要です。 スマホ操作が得意な方もいれば、使い方がよくわからない方もいます。保護者には事前に十分な説明を行い、資料を配布するなど使い方の指導も必要です。
また、システムを導入することで緊急時の連絡もスムーズに行え、時間に縛られず、いつでもスマホからお知らせや連絡帳が確認できるなどのメリットを理解してもらい、「難しそう」「かえって大変そう」というイメージが先行しないようにしましょう。
9. まとめ
手作業の方が取り組みやすい業務はそのまま生かしつつ、管理が複雑な業務や時間がかかる業務をICT化するなど、状況に合わせて上手に効率化を進めていくこと大切です。補助金を活用することで導入費用を抑えられますので、ぜひこの機会に、ICT化について正しい知識を身につけ、園の運用に合った保育システムの導入を検討してみてください。
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