最終更新: 2022年4月21日
近年ICT技術は、保育園や幼稚園などの保育施設の現場へ導入が進められています。
国全体で深刻な問題となっている「保育士不足」や「待機児童」といった問題を解決するため、保育士の業務負担の軽減に向けた業務効率化を推進していきたいところです。
そこで、この記事では業務効率化で保育士の負担を減らすためにICTシステムの導入を検討しており、さらに理解を深めていきたい方に向けて、ICTシステムを活用することのメリットや、実現できること等について解説していきます。
1. ICTシステムとは?
2. 保育支援システムでできること
①登降園管理機能
②保護者との連絡機能
③帳票作成機能
④職員の勤怠管理機能(シフト管理)
⑤請求管理機能
3. 保育園システムの導入効果やメリットは?
4. ICTシステムの導入で保育士の負担を軽減
「ICT」とは「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を意味します。インターネットを利用して情報やコミュニケーションを行うシステムツールのことを指します。
保育施設で導入されているICTシステムでは、パソコンやタブレット端末などを利用して、職員の日々の業務を支援することができます。近年ではどの業界もICT化が進み、特に保育施設では国からの補助金の活用により導入が増えてきています。
①登降園管理機能
・登降時刻管理
登降園時刻をシステムが管理します。打刻方法はICカードやタッチパネルなど様々です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)
「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000636458.pdf)を加工して作成
厚生労働省の「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究」によると、「受入時の視診・登降園管理」に要する時間は、朝の登園時間の7時~9時と、降園時間16時~18時で合計して11.5%削減していることが分かります。
手作業での集計業務がなくなり、朝夕の混雑時もスムーズに受付が可能です。
・預かり・延長保育料の自動計算
システムに打刻した登降時刻をもとに、預かり・延長保育料を自動計算します。
計算間違いの心配や、保育料の計算に係る時間も不要になります。
打刻データを自治体への預かり報告書などで活用するシステムもあります。
②保護者との連絡機能
・出欠、遅刻、早退の連絡
保護者のスマートフォンから事前に出欠・遅刻等の連絡受付ができます。毎朝電話対応に追われる登園時間帯の業務負担を軽減します。
・連絡帳機能
連絡帳のやり取りもシステム上で行うことで、保護者との連絡をスムーズにできます。
コロナ禍で必須となっている体温の連絡もシステムで連絡できます。
・お便り・メール配信
保護者への情報発信もシステムで簡単に行えます。既読確認や細かな配信先の設定も可能です。
一斉連絡も可能なので、災害時や急な予定変更などの緊急連絡にも活用できます。
印刷・配布といった作業も不要となるため、事務作業の時間短縮に繋がります。
③帳票作成機能
・自治体への提出書類の作成
必要なデータを自動計算し、自治体への提出書類の作成をサポートします。
預かり保育報告書や、無償化に関わる領収書・提供証明書・施設設備等利用費請求書の作成をシステムでサポートすることができます。
・保育日誌、指導案の作成
園運営に欠かせない日々の書き物業務の負担を軽減することができます。
個人データや必要な項目は自動で反映されるなど便利機能が多数あります。
過去データの参照や引用も可能なので、何度も同じ内容を入力することや、過去の帳票を開いて確認するといった作業が不要になります。
④職員の勤怠管理機能(シフト管理)
職員の出退勤やシフトなどを管理できます。勤怠の状況や残業時間が簡単にわかるので、職員の勤務負担の把握ができ、オーバーワーク防止にもつながります。
時間がかかるシフト作成もシステムのアシストで業務負担が軽減されます。
⑤請求管理機能
毎月の請求や集計もシステムで管理します。保育料だけでなく複数の固定費、変動費の管理ができます。請求案内や督促状などの帳票もシステムから出力可能です。幼児教育・保育の無償化に対応しているシステムでは保育料・預かり保育料・副食費の減免金額の計算まで行うものもあります。
ICTシステムを導入することで得られるメリットは多数あります。
ここでは日々の業務をシステム化した際のメリットについて解説します。
・事務作業の効率化
日々の膨大な業務をシステム化することで、業務効率化を図ることが可能です。
手作業で行っている日々の書き物や、保育料計算・集計業務はシステムにより負担を軽減できます。手作業によるミスも防止できるので、修正ややり直しなどに時間を取られることもなくなります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)
「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000636458.pdf)を加工して作成
厚生労働省の「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究」によると、事務作業の中で多くの時間を要するとされる「書類作成時間」では、1ヶ月の一人当たりの作成時間は8.8時間短縮されたという結果になりました。
その他にも保育料の自動計算や、システムから帳票の出力など、保育業務を効率化させる便利な機能がたくさんあります。
・コスト削減
事務作業が効率化されると保育士の労働時間が短縮され、人件費の削減につながります。また、保育日誌や指導計画、お便りなど今まで紙で管理していたものがペーパーレス化されることで紙や印刷代の削減にもなります。
・円滑なコミュニケーション
連絡や情報共有をスマートフォンから行えるので、職員同士だけでなく、園と保護者とのコミュニケーションがスムーズになります。
システムを使用することで、既読確認もできるので連絡漏れ防止にもなり、保護者と密に連絡を取ることが可能です。
・保護者の利便性UP
出欠・遅刻・早退の連絡を電話ではなくWeb上からできるので、忙しい朝の時間の負担が軽減されます。Web上からの連絡では受付時間を問わないので、空いた時間に手間なく連絡することができます。
さらに、災害時などの緊急連絡も確実に受け取れるので、安心感につながります。お便りも保護者のスマートフォンから確認できるので、紛失の心配がなく、隙間時間にチェックできることもメリットとして挙げられます。
・保育の質の向上
様々な業務効率化によって空いた時間は、子どもとの触れ合いの時間に充てることができます。日々のデータを職員同士で簡単に共有することができるので、保育の質の向上が期待できます。何より、事務作業の負担が軽減されることで、気持ちにゆとりをもって子供たちと向き合うことができる点が一番のメリットではないでしょうか。
ICTシステムは、業務効率化を図り、保育士の負担を軽減させることが期待できます。
保育士のオーバーワークが問題とされる現代において、事務作業にかかっている時間を短縮することで、子供と向き合う時間が増え、さらに保育の質を高めることができるでしょう。
また、先生や職員だけでなく、保護者にとっても多くのメリットがあるため園への満足度の向上も手助けします。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)
「令和元年度 保育士の業務負担軽減に関する調査研究」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000636458.pdf)を加工して作成
厚生労働省の「令和元年度 保育士の業務の負担軽減に関する調査研究」によると、
ICTで利用している機能は「登降園管理」「保護者との連絡に関する機能」「園児台帳の作成・管理機能」が上位を占めています。
ICTシステムの導入により「登降園管理」や「連絡帳等書類作成」等の特定の業務において業務負担軽減の効果があることが分かりました。
その他にもICTシステムにはさまざまな機能と特徴があります。
園が抱えている課題や運用に合った保育園システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、保育園システムの導入にあたり、国や自治体が実施している「ICT補助金」の制度を利用することで導入のコストを抑えることができます。
ICT補助金についてはこちらの記事をご覧ください。↓↓↓
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園運営の様々な悩みを作業の短縮・効率化で解決できるシステムです。
登降園管理や無償化・新制度対応の請求管理、自治体への報告書作成など、事務作業を集中管理できます。
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